第56話 極寒生肌ブタとやんちゃ者たちの、親心子知らず!

 以前カナダの田舎で、牧場修行をしていたときに、私は馬や牛、羊などと共に、4匹の子豚の世話をしていたことがある。

 この子豚ちゃんたちは、立派なぴちぴち尻、むちむちぽんぽん腹、「ブヒブヒ、ブヒー」の丸々太った元気な大人の豚に育っていったのだけれど、この地域の冬はとても厳しく、マイナス30℃以下にもなるために、そのピンクの生肌をさらしながらでは、さぞ寒く辛かろうと、私は思っていた。

 きっと南国豚はハイビスカスに囲まれ、まったりと生きているに違いないが、この地の豚たちは、北の大地の厳しさに耐えなければならない。

 しかもこの豚小屋は、寒風吹きこぼれる隙間だらけの古い木造であったし、足元の床は、吹きぬけてきた雪が凍って氷のようになっていたのだ。

 そこで私は立ち上がり、そんな極寒生肌暮らしの4匹の豚ちゃんたちのために温かい寝床を作ってあげることにした。

 と言っても、暖房を設置したり、羽毛布団をかけたりというわけにもいかないので、馬小屋で使っている敷き藁を少し分けてもらって床底に敷いてあげたのである。

 ところが、次の朝早くに、フカフカ藁につつまれて、心地よい眠りをむさぼったに違いない豚ちゃんたちの様子を見に行くと、なんと、数本の藁が床に散らかっているだけで、そのほとんどが見当たらない。

 どっさりと敷きつめてあげたはずなのに、床はペタンコ。

 相変わらず、ピンクの生肌が、氷と化した雪の上にどてんと横になっていて、敷いた藁はというと、1晩で食べ尽してしまったようで、「喰った~」とばかりに4匹たちは満足そうにひっくり返って寝ている。

 そんなピンクのブヒブヒたちの満足げなお腹を見ながら、私は呆れて立ち尽くしたのだった……。