1976年8月号。蝶だらけ!(写真クリックで拡大)

 2つめは1976年8月号に掲載されたオオカバマダラです。

「帝王蝶(monarch butterfly)」の名を持ち、米国ではとても人気のあるこの蝶は、夏はカナダからフロリダまで広範囲にいるものの、冬になるとこつぜんと姿を消してしまいます。南へ向かうことはわかっていたものの、誰も正確な行き先を知りませんでした。

 そんなオオカバマダラに少年のときから魅せられていた生物学者フレッド・アーカートは1973年から妻ノラと追跡調査を始めます。しかし、資金繰りに苦しみ、断念寸前のところを協会が支援。1975年のはじめにようやく越冬地を見つけます。メキシコのシエラマドレ山脈でした。

1975年、生物学者フレッド・アーカートは長年謎とされてきたオオカバマダラの越冬地を発見しました。(c)Bianca Lavies(写真クリックで拡大)

 越冬地を見つけたとき、夫妻は息を飲みました。オオカバマダラが何千本という木を覆いつくし、その重みで枝は折れ、地面は厚さ20センチほどの蝶のじゅうたんと化していたそうです。その後、カリフォルニアの数カ所にも越冬地が見つかりましたが、メキシコの越冬地は世界遺産「オオカバマダラ生物圏保護区」として保護されました。夫妻の研究は協会が選ぶ「地球の理解を深めた支援探検・調査トップ10」に選ばれています。

 なお、オオカバマダラは数世代にわたって北上し、越冬地に向かって南下する個体はいちどもメキシコやカリフォルニアを訪れたことがありません。オオカバマダラがなぜ世代を超えて「渡り」ができるのか。その秘密は依然として謎に包まれています。

 お次は海へ行ってみましょう。

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