「叩くことで調味料がよく混ざり合うし、パパイヤにも味が染みこむんですよ」と説明してくれる。「タイ料理は辛いイメージが強いけど、辛い、酸っぱい、甘い、しょっぱいの4つの味覚が基本です。ソムタムは、唐辛子が辛い、レモン汁が酸っぱい、パームシュガーが甘い、ナンプラーがしょっぱいと、4つの味を調和させた料理なんです」

 4つの味覚のバランスで店や家庭ごとの味が決まるのだという。そうこうしているうちに、最後にパパイヤを混ぜて完成。ソムタムにはいろいろな種類があって、作ってくれたのはもっとも一般的な「ソムタムタイ」。緑や赤と色も鮮やかでみずみずしいサラダは暑い夏でも食欲をそそる。さっそく一口。シャキシャキとしたパパイヤの食感が心地よくさっぱりとして……って辛い!

 一瞬にして吹き出る汗、しびれる舌。おそらく顔が真っ赤になっていたのだろう、アロムさんが笑いながら教えてくれた。

 「ソムタムはもともとタイの東北部、イサーンの料理なんです。東北は乾期になると作物が育たないため、地元の人たちはみんなバンコクに出稼ぎにきました。その人たちが故郷の味を懐かしんで作るソムタムが、いつの間にか全国で食べられるようになったんです」

 イサーン料理は辛いのが特徴なんだそうだ。話に耳を傾けつつも「全然ゆるキャラじゃない!」と悶絶していたが、なかなかどうして箸は止まらない。全体的にはさっぱりと酸味が強いのに、ほのかな甘みが味に深みをつくり、ナンプラーの風味があとを引く。これぞ見事な調和。もう一口、あと一口だけと食べているうちに、ほとんど食べてしまった。

青いパパイヤのサラダ「ソムタム」。「パパイヤがなければニンジンやキュウリで作る」とアロムさん。野菜を多く使っていてヘルシーなのでタイの女性にも人気が高い

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