第7回 辛いほどに懐かしいタイの味

「J's Store(ジェイズストア)」のオーナー、ホムスワン・アロムさん。タイで日本人のご主人と出会って結婚し、1992年に来日。数年前にご主人を亡くしたが、働けるうちは店を続けるつもりだという

 暑い時に辛いものを食べるのは、食欲増進や代謝アップはもちろんのこと、発汗によって体温を下げる効果がある。アロムさんも「1年中食べる料理だけど、刺激があって頭がすっきりするから、暑さで元気がない時によく食べる」のだという。

 とはいえ、アロムさんの出身は中部のスパンブリー県。なぜ東北部の料理がソウルフードなのか問うと、こんな答えが返ってきた。

 「小さい頃は両親がバンコクで働いていて、私は祖父母の家で育ちました。祖父母の家は農家でいろいろな野菜を作っていて毎日食べていた。だから野菜が好き、野菜をたくさん使ったソムタムが好きなんです。それにソムタムは今では代表的なタイ料理。私のお店に母国の味を求めてやってくるタイの人たちがソムタムを楽しみにしてくれているんですよ」

 「ジェイズストア」では、伊勢佐木町界隈で働くタイ人のために料理を一律500円で販売、配達もしている(店で食べる場合は一律800円)。「儲けは少ないけど、日本でちゃんと食材を揃えてタイ料理を作るのは難しいからね」とアロムさん。隣で食事をしていた客のポムさんも言う。

 「私は東京の東村山市に住んでいますが、週に3~4回ここに来ています。この街には友だちもたくさん住んでいるし、家では和食ばかりなので、タイ料理を食べにね。このお店の料理は本場のタイの味なんです。それに種類が多くて安い。だから友だちとの待ち合わせはいつもここ。今日もこれから集まるんですよ」

沢ガニと魚の塩辛が入った「ソムタムプープラーラー」に素麺をあえたもの。塩辛のうま味が引き立つソムタムプープラーラーはイサーンでよく食べられているという