第7回 辛いほどに懐かしいタイの味

 今夏は暑い。とにかく暑い。
8月半ばには高知県四万十市の41.0℃をはじめ、気象庁の観測地点927のうち、実に90地点以上で史上最高気温を記録したという。41.0℃なんて体温だったら大変じゃないか……。暦の上では処暑を過ぎて朝晩は涼しくなってきたが、気象庁によると9月も残暑が厳しいらしい。

「よし、暑い時は辛いものを食べるに限る。辛いものと言えば……タイ料理!」

 もちろんタイ料理がすべて辛いわけではないが、常夏の国であるタイ王国のソウルフードなら暑さに打ち勝つ“元気の源”があるんじゃないか。そんな考えと辛さへの欲求を抱えて、やってきたのは横浜・伊勢佐木町。どうやらこの界隈、知る人ぞ知る“リトルタイランド”らしいのである。

 この日の神奈川は最高気温34℃の真夏日。突き刺すような日差しの中、街を歩いていると確かにそこかしこにタイの料理店やマッサージ店の看板がある。伊勢佐木町の商店街を過ぎるとその数はさらに増え、一区画2~3店舗が軒を連ねているところも見られるほどだ。

 「この界隈にタイマッサージ店は50店舗くらいありますよ。タイ料理屋さんもうちの近所だけで1、2、3……7軒はあるわね」

 冷えたタイ産の缶ジュースを持ってきてくれながら、そう教えてくれたのは「J's Store(ジェイズストア)」のオーナー、ホムスワン・アロムさん。約20年前に来日したアロムさんはタイレストランで料理人として働き、10年前からこの街でタイの食材と料理の店を営んでいる。