弟子入りしたいと告げたあと、部屋にひとり残されたぼくは、ジムが答えを持って戻ってくるのを、じっと待っていました。

 この清々しい部屋と、その窓から見える森の関係について説明するために、ジムのこれまでの人生について、ここで書いておく必要がありそうです。

 ジム・ブランデンバーグはアメリカ・ミネソタ州の南西の端にある、農場と草原に囲まれた町、ルヴァーンで生まれ育ちました。

 10代の頃から写真が趣味で、近くの農場や草原を舞台に、風景やそこに生息する野生動物の撮影に熱中していました。

 その後、ミネソタ大学ダルース校で美術史を学んだあと、故郷に戻り、地元の新聞『ウォーシントン・デイリー・グローブ』でフォト・ジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせます。

 そこで10年以上働き、写真部長を担当するようになりましたが、その傍ら『ナショナル ジオグラフィック』に何度も企画を持ち込みました。

 本人から後に聞いた話では、当初は電話口でまったく相手にされず、何度も断られたそうです。

 しかし、33歳になったとき、ようやく企画が認められ、初めての記事を担当することになりました。

カエデのタネが、淡いピンク色に染まりはじめると、夏も終わりが近づいている。(写真クリックで拡大)

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