写真家のパスカル・メートルは、コンゴ民主共和国の首都キンシャサで撮影中、女性に額を殴られた。といっても、練習中の女性ボクサーに近づきすぎて偶然当たっただけで、周りは笑いに包まれ、緊迫した取材の中で和やかなひと時となった。この練習場があるスタジアムは、1974年にボクサーのモハメド・アリがジョージ・フォアマンを破った伝説の対戦の舞台だ。

――ダニエル・ストーン

レンズの裏側

――治安の悪いキンシャサでどう身を守ったのですか?

メートル:この都市は混沌としていますが、治安の悪さはたいていの大都市と変わりませんよ。もちろん、街をよく知っていて、自分の身分を保証してくれる人と一緒に行動する必要はあります。警察と情報当局に自分の行動をきちんと知らせることも大切ですね。何度か通っているうちに顔を覚えてもらうと、取材しやすくなります。

――現地の人に信頼してもらうコツはありますか?

 難しいのですが、方法はとても単純です。自分が何を求めていて、取材でどんなことを伝えたいかを、正確に説明することが大切です。そうすれば、協力者もたいてい見つかります。

――白人だと目立ってしまい、自然なシーンを撮りにくいのでは?

 特集のために3度取材に行きましたが、自分のほかに白人は一人も見かけませんでした。差別されることはありませんでしたが、街で撮影していると、どうしても注目されてしまい、1カ所の撮影にあまり長い時間をかけられません。時間と忍耐が必要でしたね。