第54話 若葉ちゃんは、まだまだ認められない!

 ミンチュミナ湖に出ると、低い位置にある太陽の光を浴びた。

 湖は一面ピンク色に染まっていて、息を飲むほどに美しい。

 トーニャの橇犬たちの背中が、橇越しに見えた。

 あの耳の聞こえないアンは、どうしているのだろうと、遠くに目を凝らすと、アンはなんの問題もなく、リーダー犬たちの背中を追いかけている。

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 しばらく湖をまっすぐに走ると、「ジー(右へ)」と指示を出すトーニャの声が、後ろの私にも聞こえてきた。

 犬たちは、スムーズに右に曲がっていく。

 アンも遅れをとることなく、ちゃんとついて行っていた。

 犬橇では、右に曲がれを、「ジー」左に曲がれを、「ハー」と言って指示を出す。

 しかしながら、犬たちには、この左右の理解は難しい。

 特に大雪原では、どの程度曲がるのかが、犬たちには分からない。

 90度直角に曲がるのか、60度くらいでいいのか?

 フォローする道のない場所では特に犬たちは迷ってしまう。