第3回 インド・ブリンダヴァン「ホーリー」

 インドの祭りと言えば、必ずその名があがるホーリー。春の訪れを祝い、色の着いた粉を掛け合う行事で、これには厄落としの意味合いもあるという。ホーリーはインド全土で行われるが、その中でも最も激しく、最も危険だと言われているインド北部の街、ブリンダヴァンのホーリーを目指した。

 夜行列車で街に到着し、ホーリーの聖地、バンケ・ビハリ寺院を目指す。細い路地が寺院まで延びていて、向こうからやって来る人がみな、ピンクに染まっている。いかにも壮絶な戦いを終えてきた、といった表情をしている。寺院へ向かって歩いている合間にも、群衆の中から緑や黄色、ピンクの粉が飛んで来る。外国人は格好の標的である。それらの攻撃から逃げるように寺院へと向かう足が速くなる。

 寺院に辿り着き、中に入る。そしてその熱気に驚いた。みな狂ったように押し合いへし合いして、色の粉を投げている。何やら歌のようなものを歌っているけれど、それが何の歌かはわからない。とにかく、その熱気がすごい。寺院内にひしめくエネルギーの密度に押しつぶされそうになった。

 ピンク色の粉が、差し込む光に照らされて寺院内は神々しさに満ちている。それは、まるで彼らの信仰心そのもののように空中に漂っていた。2階に昇りそこから眺めると、またその異様な群衆の姿に驚く。頭の先から足の先まで赤く染まり、恍惚の表情を浮かべた群衆たちが隙間なく密集して波打っているのである。