第5章 1956- 第二期黄金時代からさらなる挑戦へ
第24回 世紀の大発見「タイタニック号、発見!」のウソ
前回は深海生物の“世紀の大発見”を紹介しました。見つけたのはナショナル ジオグラフィック協会がずっと支援をしている地質学者のち海洋考古学者のロバート・バラードです。でも、ロバート・バラードといえばやっぱりタイタニック号ですよね。これも“世紀の大発見”でしょう。というわけで、今回はバラードの世紀の大発見第2弾として、タイタニック号をとりあげてみます。
ロバート・バラードがタイタニック号を発見したのは1985年9月1日のこと。場所はカナダ・ニューファンドランド沖550キロの水深約3800メートルの海底です。大発見のニュースは一気に世界をかけめぐり、『ナショナル ジオグラフィック』の1985年12月号にはバラード自身が「我々はいかにしてタイタニック号を見つけたのか(How we found TITANIC)」という詳しいレポートを寄せています。
この号の日本版はありませんが、その後もタイタニック号の特集はいくつか出ています。沈没から100年となる2012年4月号の特集「タイタニック 沈没の真実」をはじめ、タイタニックに乗船した唯一の日本人を祖父にもつ細野晴臣さんのインタビュー「タイタニック 祖父の真実」、また、2004年12月号「深海底で崩れゆくタイタニック」など、さまざまな話があるのでぜひご覧になってみてください。
それはそれとして、『ナショナル ジオグラフィック』には極めて珍しいことに、1985年の記事でバラードはひとつウソを書いています。
それは「2カ月近くにわたりタイタニック号を探した」というくだり。
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