――当初、地元の方々には不評だったという深海水族館プラン。どう説得したのですか。
僕としては、駿河湾とそこに棲む生きものの価値を、あの手この手でひたすら訴えるしかありませんでしたね。
地元の人にとっては、ともすれば捕れても捨ててしまう深海魚。でも、駿河湾は水族館の関係者や海洋生物の研究者たちの間では、世界的に知られる海域なんです。
駿河湾は、海岸から数百メートルのところで、水深200mに達するドロップオフ。だから漁場が近くて、魚種も豊富なんです。
そういえば、かなり以前ですが、「ナショナル ジオグラフィック」から、問い合わせを受けたことがありますよ。こういう魚を探しているが駿河湾にいるか。どうすれば撮影が可能かといった内容でしたね。イギリスのBBCからも、ちょくちょく私のところに、同じような問い合わせがあります。
――食べるために捕る深海魚だけではなく、これまでは見向きもされなかった深海魚にも人々が魅力を感じる価値があるということを訴えたわけですね。
そうです。今まで捨てていた魚や生きものを見せて、人が呼べるようなら新たな地域資源として生かせるわけですから。