――なぜ、そこまでされるのですか。

 僕の注文はめんどうなんですよ。
 彼らが捕ったものをただ見て買うのではなく、船に乗せろだの、捕り方はこうしろ、水槽に入れたらこうして飼ってくれだの、いろいろ細かいことを言う。

 こちらとしては、なるべく状態の良いものがほしい。でも、アクアリウムが中華レストランの水槽だと思っているような人には、それがよくわからない。

 しかも、水族館への納入ですから、ペットショップ卸と違って数が出ない。1度オーダーしたら、次は4年後という生きものもあるわけです。商売としては、見合わないんです。

――日本でアクアリウムは、こういう施設だ。何のために生きものを買っているのかを、実際に見てほしいというので招待するわけですか。

 そうです。あなたの捕った魚は、こんなふうに展示されて、多くの日本人がそれを見て楽しんでいるよと。

 すると、その人たちの気持ちが変わるんです。彼らもかつての僕のように、捕った魚を右から左に流しているだけ。かたちとして残るものはなく、何のためにこの仕事をしているのかと疑問を感じている人は、少なくないのだろうと思います。

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