犬の繋ぎ方にも、それぞれにポジションと役割があって、先頭は、マッシャーの指示を聞いて、進路を判断するリーダー犬。

 橇に近い一番後ろは、ウィールドッグ(wheel dog)と呼ばれる、言わば体が大きく頑丈なチカラ犬が起用される。

 橇の負荷が前方よりも重くかかることと、万が一、ブレーキが利かなかった際に、橇に衝突されるリスクがあるために、頑丈な犬が選ばれるのだ。

 その間の犬たちは、チームドッグと呼ばれる。

 その名の通り、一致団結して駆動させる仲間たちだ。

 トーニャは、自分の橇の先頭を、鼻腔障害を持ちながらも優秀なリーダー犬として走ることができるルーニーと、若いが頭の良いマーソンを起用した。

 そして、ウィール犬には経験を積ませたい若い犬を繋ぎ、その間に、耳の聞こえないアンを繋いだ。

「アンには、優秀なリーダー犬の背中を見て欲しい」とトーニャは言う。

 私の方はと言うと、先頭に、真っ黒くろすけの黒熊みたいな大型犬ルーディーと、紀州犬のように真っ白いズートを繋ぐことになった。

 白と黒で、まるでオセロや囲碁のようなコンビである。

 黒熊ルーディーは、癲癇症状を持つソルティーの兄犬で、ソルティーの発作が出るようになる前までは、兄弟でリーダー犬を務めていたという。

 ズートは、首輪抜け脱走の大天才の要注意犬物。

 犬橇で走るときは、首輪ではなく、肩で橇を引くハーネスをつけるので脱走の心配はないが、ハーネスを外した瞬間から、気を抜いてはいけない犬だ。

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