アラスカの冬は長いと言うけれど、犬橇で走れる季節は、意外に短い。

 雪が降っても、しっかりと積もっていなければならないし、氷点下になっても、湖の氷が厚く凍っていなければならない。

 とすると、この地域では、11月の後半から3月のはじめぐらいまでが犬橇の季節で、実質たった4カ月ほどだ。

 では、いったいそれまでのおよそ8カ月の間を、犬たちはどうして過ごしているかというと、ただ、ぐうたらとしていて、「あぢ~」と舌を出して寝ているだけ。

 冬とは反対に、短いと言われるアラスカの夏は、橇犬たちにとっては、長く退屈な日々なのである。

 実は、犬たちを飼うほうも大変なことで、この何もしないでだらけている間の犬たちにも、もちろん餌代はかかるし、世話人も必要となる。

 犬橇ツアーを主催する経営側など、採算が合わないと言ってやめてしまうところも多い。

 だからこそ、犬橇の季節は、惜しむように毎日犬たちを走らせる。

 走ると言っても、ただ走って乗って遊ぶのではなく、犬橇には犬橇の役目がしっかりとあるのだ。

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