第52話 基本はぴょんぴょんカンガルー跳び歩き
ウィールドッグには、以前から醤油顔だあと思っていた若いオスのカーメルと、犬種のルーツがまったく推測できないほどの雑種のキワメツケといった感じのフラックル。
それぞれの犬の配列が決まれば、さっそく犬たちを取りに行く。
橇に繋ぐ前に、一旦犬たちを並べるワイヤーの固定ラインに繋ぐのだ。
最初に黒熊ルーディーを取りに行った。
ルーディーの首輪を掴み、チェーンを外す。
するとルーディーは大喜びして、あっちへ飛び跳ね、こっちへ飛び跳ね、ぐいぐいと私を引っ張りながら、あさっての方向に来てしまった。
しかも、あまりにも大跳ねするものだから、首輪に手を入れている腕をねじってしまって、
「イ、テ、テ、テ」
手を抜こうにも簡単に抜けなくて、合気道の関節技にでもかけられたかのように、私は腕をかばって倒れこんでしまった。
その瞬間、手が離れてしまい、自由を手に入れたルーディーは、もう大喜び。
このときとばかりに、ドッグヤードの犬たちに挨拶に行っては、方々で怒られている。