第2回 南スーダン共和国・ジュバ「独立前夜」

 アフリカを旅していたとき、この大陸に54番目の国が誕生するというニュースが飛び込んできた。内戦が長く続いた末に、南スーダンが分離独立するという。国が生まれる瞬間、そこには一体どのような光景が広がり、どれほどの感情が沸き上がるのか。それを実際にこの目で見てみたいと思い、ウガンダから陸路で南スーダン共和国の首都となるジュバに入った。

 到着したのは2011年7月8日、独立前日の早朝だった。ウガンダの首都カンパラからバスに乗りこみ、雨でぬかるみだらけの未舗装の道路を進むこと35時間。ジュバに到着したとき、どこか田舎の名もなき小さな村に着いたのかと勘違いした。というのも、そこは首都と聞いてイメージするような街ではなく、粗末な小屋が建ち並び、電気もガスも水道もなければ、舗装された道路もほとんどなかったからである。

 街の近くを流れるナイル川にはタンク車が数台停まり、川の水を吸い上げている。聞くと、それらはそれぞれの家のタンクに給水され、生活用水に使われるという。中心地には銀行や両替所、航空会社のオフィスが並ぶけれど、どれも中は薄暗く機能しているのかどうかはよくわからない。車が通れば土埃があがり、蠅がやたらと多い。歩いて5分もあればこの街の大体のことを知ることができるほどの規模。中央郵便局にも行ってみたが、これもまた掘建て小屋。そこに辿り着くまで何人かに場所を聞いたのだが、だれも郵便局というものがあること自体知らなかった。

 明日、悲願の独立を果たすと言うのに、街は平穏そのもの。なんの盛り上がりもなく、けだるい時間が流れていた。この国は本当に独立するのだろうか、また、本当に独立しても大丈夫だろうかという不安がよぎる。