はい、もう17年ほどお付き合いをさせていただいていてます。僕が珍しい魚を一生懸命探していたころ、さかなクンがブルーコーナーに寄ってくれることが何度かあったんです。

 普通の人には珍しくも何ともない、カワハギやハコフグを見て、すごく喜ぶんですよ。そして目をキラキラさせながら魚の魅力を語るんです。その姿を見て「俺は今のままでいいのか」と思いました。

 海が好きで生きものが好きで始めたはずの仕事なのに、仕入れて売るだけじゃないか。つまらない魚なんていないんだ。もっと海の生きもののことを知りたい、そしてそれを伝えたい。それにはどうしたらいいか。魚のことを教えてもらうなら、水族館や博物館の先生たちに教えてもらおうと、時間を見つけて伺いました。さかなクンとの出会いが大きな転機でした。

 ただ最初は水族館や博物館の先生にはほとんど相手にされず……。
そこで先生方にとって便利な業者になることにしたんです。求められた生きものを探して納入する。1個体がたった3000円でしたけど。調達先が国内でも海外でも、生きていても死んでいても同額です。学術研究用ですから。その仕事自体ではとても食べていけませんでしたね。

――それがなぜ、世界185以上の水族館に生体納入をするまでになったのか、続きをうかがっていきましょう。

館内にあるショップで販売されたリアルすぎるダイオウグソクムシのぬいぐるみ(こちらは見本商品。入荷未定)。発売から数時間で完売に!(写真クリックで拡大)

(つづく)

石垣幸二(いしがき こうじ)

1967年生まれ。静岡県下田市出身。2000 年に有限会社ブルーコーナーを設立。世界各国の水族館、博物館、研究室などに稀少な海洋生物を供給する仕事から「海の手配師」と呼ばれ、「情熱大陸」などのドキュメンタリー番組にも度々取り上げられる。2011年に沼津港深海水族館の館長に就任。著著に『深海生物~奇妙でたのしいいきものたち~』(笹倉出版社)など。


高橋盛男(たかはし もりお)

1957年、新潟県生まれ。フリーランスライター。自動車専門誌の編集を手がけたのちフリーライターに。JR東日本新幹線車内誌「トランヴェール」、プレジデント社「プレジデント」「プレジデントファミリー」などに執筆。

この連載の前回の
記事を見る

この連載の次の
記事を見る