第1回 深海水族館の謎の生きもの
一般財団法人自然環境研究センターが発行した登録票(※2)があるからです。海外から移入された希少種の個体を登録する制度があるのですが、これにより当館にあるシーラカンスが、ワシントン条約の第1種指定以前に持ち込まれたことが証明されています。
また、国内の法律(※3)でも、絶滅のおそれがある希少な野生動植物の展示(陳列)は禁止されているのですが、一定の条件を満たせば展示が認められます。
つまり、その登録票があることにより、当館のシーラカンスは展示公開が可能になっているのです。
――つまり、本来なら一般の目に触れることのないシーラカンスの標本が、ここでは見られるということですか。
そうです。その意味で、当館のシーラカンスの展示は、世界的にも希少な例となっています。
――さて、石垣さんは水族館などに海洋生物の生体を納入する業者でもありますね。「海の手配師」と呼ばれ、世界的に知られています。その仕事はいつごろから始めたのですか。
生物を扱う仕事を始めたのは21年ほど前になります。潜水士として入った水産会社で、ひょんなことからペットショップ向けに熱帯魚を卸売りする業務を始めたことがきっかけでした。