第51話 気高く美しいエリザベス様はムズかしい……。

 パンを焼く手順は、まずはエリザベスストーブに火をつけ、湯を沸かし、小麦粉にサワードウを入れてパン生地を作る。

 エリザベスストーブの上部にある保温器のなかにパン生地を入れて、1次発酵をさせる。

 これが火加減により熱すぎると、酵母が死んでしまうし、温度が低すぎると、発酵が進まない。

 再び取り出してこねて、2次発酵させたあと、今度は本番のオーブンに入れるが、これまた温度調整が難しい。

 薪を入れ過ぎると、温度が高過ぎて、表面だけ焦げてしまうし、途中で温度が下がると、せっかく膨らんだ生地が、穴の空いた風船のようにしぼんでしまう。

 わかっちゃいるけど、このエリザベス様の扱いは、かなり大変で、調理板や湯沸し、保温器、オーブン、全ての部所にまんべんなく熱を循環させなければならない仕組みになっているのに、なにせ焚口が小さく、細い薪しかくべることができないのだ。

 上手な人は、どんなに薪が細くても、空気との調整でゆっくりとした細い火を作り、全ての部所に適度な熱を送ることができるというが、私やトーニャでは、いまいちうまくいかず、ガンガン焚きか、チョロチョロ焚きかの両極端にしかならない。

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