ずらりと居並んだ男性たち。映画に出てきそうな格好よさです。写真中央の眼光鋭い男性は、この民族集団の首長の次男、いわばプリンスです。

(c) DR. JOSEPH F. ROCK/ National Geographic Creative(写真クリックで拡大)

 武装し威圧するように撮影者を見ているこの5人は、中国の少数民族のモソ人です。チベット系のナシ族に含まれ、人口はわずか4万人ほど。

 撮影された場所は、中国の雲南省と四川省にまたがる濾沽(ルーグー)湖の近くです。モソ人はこの湖の周囲にくらしています。濾沽湖は山深い中に、透明度の高い水をたたえた美しい湖で、近年は観光地としての人気も高まってきています。

 この写真を撮影したジョセフ・ロックは30年近くにわたり、チベットや中国南部などの各地を踏査し、その記事を「ナショナル ジオグラフィック」誌に寄せていました。(ジョセフ・ロックについてはこちらもどうぞ)

 ロックはこの場所で、モソ人の首長(つまり中央の男性の父親)やチベット仏教寺院の高僧、女性たちを被写体に多くの写真を撮影し、1931年7月号に掲載しました。上の写真はその時撮ったうちの1枚で、説明には「男性たちが武装しているのは山賊の襲撃から守るため、常に警戒を怠らずにいた」とあります。

 66年後、1997年1月号の「ナショナル ジオグラフィック」誌では、ナショナル ジオグラフィックの写真家マイケル・ヤマシタが同地を訪れ、1920年代と変わらないくらしぶりを伝えています。ヤマシタが撮影した女性たちの服装は、ロックが撮影した20世紀初頭のものとほぼ変わっていませんでした。

 次回はカフカス地方の眉毛美人が登場します。




 この連載の写真は、下の写真集に収録されています。

『100年前の写真で見る 世界の民族衣装』(ナショナル ジオグラフィック編、日経ナショナル ジオグラフィック社)

ナショナル ジオグラフィックの貴重なアーカイブから、およそ100年前の世界の人々の服装を紹介。Tシャツとジーンズに駆逐される以前の、リアルな日常服としての民族衣装を212点収録。

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