第50話 カマキリ便所よりも、気合がいるのだ!

 ところが困ったことに……、こういうものを食べて体を冷やすと、人間の脳というのは、やたらと貯水タンクの放水を命令してしまうもので、非常にトイレが近くなる。

 このロッジにはトイレがなく、アウトハウスと呼ばれる、いわゆる外の厠に行かなければならない。これがまことに面倒なのである。

 アラスカの森の生活者にとっては、アウトハウスなど珍しいことではないので、私も慣れてはいるが、やはり寒さがマイナス20℃、30℃を超えると、話は別。

 しかも、これからはマイナス40℃を超える日もやってくる。

 常夏フラダンスセンター化しているロッジ内の室温は30℃以上。外の気温は、マイナス30℃以下、その差約60℃。

 そのなかを、栄養吸収しては不要物を出すという生命体の日々の営みを果たしていかなければならないのであるから、ツライ……。

 どんなに回数の少ない人でも、1日3回は行くことになるトイレが、寒風に吹きさらされ、雪と氷に囲まれた極寒厠というのは、かなりの重苦しい覚悟が要求されるのだ。

 しかも私は、お恥ずかしながら実は、夜も行くタイプなので、これまた2重の覚悟が必要となる。