第50話 カマキリ便所よりも、気合がいるのだ!

 トーニャはそう言いながら、凍ったジュースのかたまりをガリガリと食べた。

 彼女が言うように、アラスカでは、冬の方がアイスの消費が増えるという。

 夏に「あぢ~」と言いながら太陽の下でアイスを食べる日数よりも、ガンガンに焚くストーブや暖炉の前で食べる日数の方が、アラスカ人にとっては、はるかに多いからだ。

 ロッジの暑さはもはや、私をガリガリアイスメーカーに変身させ、玄関の前には、様々なジュースの粉をブレンドしたコップが並んだ。

 外の気温がマイナス30℃であろうと、防寒服を着ての作業は汗だくになるし、ロッジに戻ると、そこはハワイかアフリカか? という室温なのであるから、冷たいものを摂取して体温を下げなければならないのだ。極寒のアラスカにいながら……。

 それは、なんて贅沢な……、だったら、暖房を控えたらどうだ? と言われそうだけれど、カチンカチンのコチンコチンの氷の世界のような極寒のなかにいると、本来ほど良いとされる温度が、なんだかものたりなく感じてしまうものだ。

 だから、なんと言われようと、極寒ガン焚きストーブの、かっかとした暑さのなかでTシャツになって、ガリガリアイスをガリガリ食べるのだ。

 もはや、これは極寒に生きる者の優越たる至福の時間なのである。

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