第50話 カマキリ便所よりも、気合がいるのだ!

 丸太で作られたベッドの横に小さな木の戸のついた窓があって、開けてみると小鳥が飛び交っている。

 トーニャは1階の団欒室から、2階を見上げて大きな声で言った。

「その窓から見るオーロラは最高よ!」

 暖かいベッドのなかでオーロラが見られるなんて、そりゃあ素晴らしいに違いない。きっと、オーロラ好きの日本人には、夢のような寝室だ。

 が、私はきっと爆睡してしまうだろう。オーロラは眺めるよりも、寝ている頭上に静かに揺れ帯びているといった状態のほうが、私は好きなのだ。

 暖かい空気は上へ上へと登る性質から、このロッジでは、2階が一番暖かい。暖かいを通り越して暑いくらいで、私は着込んでいた服を脱ぎ、Tシャツになった。トーニャもすでに、真夏のような格好になっている。

 Tシャツでいられるというのは、本当に体が楽で開放感がある。

 極寒を耐える防寒服はぶ厚く、その重みが肩にかかり、意識をしていなくても首や肩の筋肉が強張ってしまうものだ。

 ロッジ内は、まるでハイビスカスの花でも咲きそうなほどの常夏アイランドふらふらフラダンスセンターといった室温で、私はふと、

「アイスでも食べたいね~」となどと呟くと、トーニャはそれを聞いて、「作ろう!」ということになった。

 保存食として貯蔵してあるビタミン剤添加ジュースの粉を水で溶き、それをコップに入れて、そのまま玄関の外に出す。

 待つこと10分程で、それはシャーベット状になり、更に5分ほど置いておくと、まわりがしっかりと凍ってきた。

「アラスカの冬は、アイスが欠かせないのよね~」