第50話 カマキリ便所よりも、気合がいるのだ!

 気温もマイナス2桁台では、保温材が使われていない簡易的なベニヤ小屋は無駄に暖気がもれてしまって、ストーブの燃料(薪)ばかりが消費されてしまう。

 その点、大きな丸太を組んで建てられているロッジは、丸太自体にスポンジのような空気を抱え込む無数の穴があいていて、芯まで熱を溜め込めこんでいるから、それが天然の保温材代わりとなって、保温効率がいい。

 それに、ロッジは、生活水となる地下貯水タンクが凍らないように、冬の間じゅう24時間、絶え間なく薪ストーブを焚き続けているため、いつでも暖かい。

 冷え切った部屋に帰って、ストーブに火をつけて、部屋が暖まるのを待つ必要もないのだ。

 という訳で、私はトーニャの暮らすロッジに移ることになった。

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 ロッジは、地下倉庫、1階、2階部分と分かれていて、1階には、オフィスと調理場、それに、天井部分が吹き抜けになっている大きな団欒室がある。

 2階はその吹き抜け天井の隅に、小さな屋根裏部屋のように作られていて、その部屋から団欒室が見下ろせるようになっていた。

 もともとそこはトーニャの寝室で、彼女は私にその部屋をゆずり、自分は団欒室のカウチで寝ると言う。

 私は、「床にマットを敷いて寝るのは、日本の畳の上に寝るのと変わらないから、部屋をゆずってくれなくてもいいよ」と言ったのだけれど、トーニャの方は、

「小さい頃から、犬橇の橇に付けられている荷袋の中で寝ていたから、ベッドで寝るより狭いところで寝るほうが好きなのよ」と言う。

 それならばと、遠慮なく2階のベッドを使わせてもらうことにすると、そこはなんとも、こぢんまりとしたいい雰囲気だった。