ジムとぼくの立ち話が、ちょうど終わったのを見計らったかのように、ジュディがお茶を入れたポットとカップを持ってきてくれました。
ぼくたち4人は、部屋の真ん中の大きなテーブルの端で、角を囲むようにして座り、それぞれのカップにお茶が注がれると、ジムもキャップを脱いで、リラックスした雰囲気になりました。
それからの話題の中心は、一転して、日本のことになりました。
ぼくは、山登りでみつめてきた日本の自然について語り、ジムは昔の思い出を話してくれました。
かつて、『ナショナル ジオグラフィック』1980年10月号で、竹の特集が組まれたとき、写真を担当したジムは京都を訪れ、竹製の茶道具を撮影したのだそうです。
そのときに撮った、竹林をバックに竹刀を構えている剣士の写真は、その号の表紙を飾りました。
ジムにとっても初めてのことで、写真家人生のなかでも、記念すべき仕事になりました。
それ以来、竹はジムにとって、幸運の植物なのだそうです。
さらにジムの話題は、日本の美術や神道にも及びました。