第55回 ナナフシガールと東京昆虫探検

ナナフシモドキ(Ramulus irregulariterdentatum)を手に、ご機嫌の麻由子ちゃん。マメ科のクズを食べるそうだ。体長は103 mm、メス。
撮影地:東京都大田区、東京港野鳥公園(写真クリックで拡大)

 今年は日本で夏を過ごしている。都会は、ビルや車、道路が蓄え、吐き出す熱によって、違和感のある暑さに包まれている。生命にとって本当に、大丈夫な環境なのだろうか?

 そんなことを思いながらも、先日、東京都内で2回にわたって昆虫探検をさせてもらった。一緒に行ったのはそれぞれ都内在住の昆虫好きの小学生。二人とも連絡をもらってメールのやり取りをするうちに、一緒に東京で昆虫を探そう!ということになった。2回に分けて紹介します。

シロアリを観察中。細かく切られ積み上げられている倒木にたくさんの穴を見つける。木の皮をめくってみると、シロアリがウジャ~。(撮影:新井由希)(写真クリックで拡大)

 最初に昆虫探検をしたのは、自称ナナフシガールの小学6年生、新井麻由子ちゃん(上)。虫を題材にした物語で、朝日学生新聞社児童文学賞を受賞したことがある昆虫好きだ。この連載の番外編19「新種のナナフシは何を食べるのか?」が更新された翌日に、「新種のナナフシを発見されたことを見て、いてもたってもいられなくなって」とメールをくれた。

 7月の暑い日、麻由子ちゃんと麻由子ちゃんのお母さんと一緒に訪れたのは、大田区の東京港野鳥公園。海に近く、都心部では緑に恵まれた場所だ。さあ探検開始!

 これまで30回以上、この公園に来ているという麻由子ちゃんが、園内の説明をしてくれるが、そんななか、ぼくは昆虫の気配を感じ、さっさと林の隅へ隅へと向かっていた。通路でも林道でもないところを進んで行く。ちょっと戸惑ったようすの二人。

アラカシ?の幹の樹液にたくさんのカナブン(Pseudotorynorrhina japonica)が!(写真クリックで拡大)

 でもその道なき道で、幹と地面の間に巣をつくるジグモや朽木の中のシロアリに出会った。それは麻由子ちゃんたちが普段見ていなかった、未知なる世界だったようだ。

 さらにその先で、たくさんのカナブンがあちこちに集まっている樹木の幹が突如として目の前に現れたのでビックリ! 3人ともこれまでこんな光景に出くわしたことがなかったのだ。
 「なんかボスみたいなのが1匹いる~!」と麻由子ちゃん。見てみると1匹のカナブンが周りのカナブンに何度もなんども突進しているではないか。

 15分ほどの間、写真を撮ったり、眺めたり、何の木だろうと葉を見たりと、そこから動けなかった。そのそばでは、赤い紋の美しいチョウのアカボシゴマダラや、ツヤツヤ輝くオオシマツヤハナムグリも見つけた。


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カナブンがゴソゴソと動き回り、樹液の取り合いをしている光景を麻由子ちゃんが撮影中。(写真クリックで拡大)
キラキラ輝くオオシマツヤハナムグリ(Protaetia pryeri oschimana)と記念撮影(左)。コナラの幹に来ていたアカボシゴマダラ(Hestina assimilis)(右)。(写真クリックで拡大)