2013年6月、富士山がユネスコの世界文化遺産に登録された。国の象徴ともいうべき富士山の登録に日本中が沸き立つなか、ふと思う。

「料理にも世界遺産ってあるのだろうか」

 さっそく調べてみると、ユネスコには有形のものを登録する世界遺産に対し、音楽や演劇、工芸技術など無形の文化を保護するための無形文化遺産という制度があった。2010年11月、そこに初めて登録された食文化が3つあるという。

 フランス美食術、地中海料理、そして……メキシコの伝統料理?

 フランスは言わずもがな、地中海料理もパスタの国・イタリアをはじめ、スペイン、ギリシア、モロッコの4ヵ国が該当するというから納得できる。しかしメキシコといえば、ぱっと浮かぶのはタコスくらい……。
 そこで今回はメキシコのソウルフードを探ることにした。ソウルフードを通して、世界的に評価される理由もわかるのではないかと期待して。

 やってきたのは東京・下北沢。この街のメキシコ料理店「テピート」に、メキシコを代表するミュージシャンがいると聞いたからだ。来日して26年になるというチューチョ・デ・メヒコさんはアルパ(ラテンハープ)やレキントギターのプロミュージシャン。かつてはメキシコの大統領に伴われ、ホワイトハウスでケネディ、ジョンソン米大統領の前で演奏したほどのキャリアを持つ。

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