第5章 1956- 第二期黄金時代からさらなる挑戦へ

第22回 植村直己、ナショジオにドーン!

 前回、1980年に『ナショナル ジオグラフィック』の発行部数が1000万部を突破したことを紹介しましたが、その少し前に、日本人にとって記念すべき号がありました。そう、日本が誇る世界的冒険家、植村直己による北極点単独行の記事が1978年9月号に掲載されたのです。しかも、表紙&巻頭!「ナショジオにドーン!」て感じです。

1978年9月号。(写真クリックで拡大)

 表紙と巻頭特集になったのは、もちろん北極圏単独行にそれだけの価値があったからにほかなりません。ナショジオ協会が植村直己の北極圏単独行を高く評価していたことは、記事の扱いだけでなく、事前に支援していたことからも明らかです。だって、失敗する可能性もあるわけですよ。冒険だもの。にもかかわらず、資金を提供したのは「北極圏単独行」という植村直己のチャレンジ自体に大きな価値を認めていた証でしょう。

 実際のところ、北極点到達後に植村直己の名前は海外でも広く知れ渡り、翌年2月にはイギリスのバラー・イン・スポーツ賞を受賞。名実ともに世界的な冒険家の仲間入りを果たしました。

 記事のタイトルは「Solo to the Pole」(表紙では「Solo to the North Pole」ですが)。全28ページで、本人と写真家による写真を交えつつ、テキストは「by NAOMI UEMURA」。つまり、本人の手記の英訳です。

 なので、記事の内容は紹介しません。『北極点グリーンランド単独行』をはじめ、私たちは植村直己が書いた日本語の文章を読めますからね。自著のほかにも、彼の冒険に関しては、日本語のほうが圧倒的に情報が多いですし、Webナショジオにはずっとよき伴走者だった湯川豊さんの貴重な証言『植村直己 夢の軌跡』もございます。写真もたくさんありますし、まだの方はぜひ読んでみてください。面白いですよ(北極点単独行の回はこちらです)。

 とはいうものの、単に表紙をお見せするだけでは申し訳ないので、ここでは当時のギルバート・メルビル・グロブナー編集長の巻頭言を紹介いたしましょう。