File7 深海生物研究者 藤原義弘

第1回 深海生物フォトグラファーの表の顔は

 しんかい6500、ブラジル、5月といえば、アトランティス大陸のニュースが思い出される。
 しんかい6500は、ブラジル・リオデジャネイロ沖の海底で、地上でしか作られないはずの花崗岩の台地を見つけた。
 すわ、伝説のアトランティス大陸ではないか!
 と、ニュースは世界を駆け巡ったが、その話題の発信点であるはずのよこすかの上では、ほとんど話題になっていなかったという。

「それが、船が陸に近づいて電波が届くようになると、じゃんじゃんメールが入ってきて」

 意外な温度差があったということですね。
 ところで、藤原さんの今回の乗船目的は、何だったのでしょうか。

専門はゲイコツです

「ブラジル側生物チームとの橋渡しが一番のお仕事で、それ以外、どんな風に役に立つんだろうと思っていました(笑)。でも、行った甲斐がありました! 素晴らしい発見があったんです。ちょっと今日は、そのお話はできません。船が8月に帰ってきて、そこに載っているサンプルを分析して論文を書いて発表するまで、申し訳ないんですが、お待ちください」

 そうです。藤原さんの本業は、フォトグラファーではありません。研究者なのです。名刺には化学合成生態系進化研究チームのチームリーダーと書かれています。

 広くて深い海のうち、研究者としての藤原さんはどこに注目しているのかというと、「ゲイコツセイブツグンシュウです」。

 ゲイコツ生物群集?

「鯨骨生物群集です。クジラが死んで海底深くに沈むと、その周りに生物が集まるんです」