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- 2013年8月号
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大集合!インドのカラフルなゾウたち
インド北部の都市ジャイプルで毎年開かれるゾウ祭りでは、ゾウたちが華やかな装いを披露する。
色とりどりの絹やベルベットの布をまとい、牙を金銀で飾った華やかなゾウたち。
これほど威厳を高めてくれる乗り物はほかにないことを、インドの王族はいつの時代も、よく承知していた。
「王を乗せたゾウはまばゆく、ゾウに乗った王もまた華麗なり」、そう記された古文書もあるという。
ゾウが「美」を競うコンテストも
あでやかな装いは、今も健在だ。
インド北部の都市ジャイプルで催されるゾウ祭りでは、ゾウたちがポロ競技や綱引きで勝負し、コンテストで美しさを競う。普段はタクシーのように、世界各地から訪れる観光客を丘の上の城塞、アンベール城に運ぶ地味な労働にいそしんでいるゾウたちが、年に一度の祭りでは、最高の晴れ姿を披露するのだ。
カラフルなペイントを施され、豪華な布や飾りをまとったゾウを撮影しようと、写真家のシャルル・フレジェは昨春ジャイプルを訪れた。
現地で目にしたゾウはそれぞれ強烈な個性があり、「絶えず遊び、動き回っていた」という。
ゾウの撮影はできたものの、今回の祭りは中止となった。動物愛護団体がゾウの扱いに疑問を呈したためと伝えられている。
インドの人々は昔からゾウを敬ってきた。
「ゾウが守られてきたのは多分にそのおかげで、アジアの他の地域よりも多く生き残っています」と、インドのゾウの文化史を研究する英国のレイチェル・ドワイヤーは語る。
だが、ゾウの先行きは不透明だ。インドでは推定3500頭から4000頭が飼育されているが、「ほとんどが違法取引された野生個体です」と、政府のゾウ保護プロジェクトの委員も務めたスパルナ・バクシ・ガングリは言う。
※ナショナル ジオグラフィック8月号から一部抜粋したものです。
日ごろは観光客を乗せてタクシー代わりの労働に励むゾウたちが、祭りの日には大変身! 色鮮やかなボディペイントを施された、年に一度の晴れ姿をお楽しみください。
ちなみにゾウの背に揺られて行く、丘の上の城塞「アンベール城」は、富士山と同じく、2013年に新たに登録された世界遺産。いつかは行ってみたいものです。(編集H.I)