さて、総じて淡々と話を伺ってきた。

 岡田さんは、「はやぶさ」に搭載された観測機器(X線分光計)の開発に学生時代にかかわり、それをきっかけに「はやぶさ」の観測と運用を担った。そして、サンプルが届いてからはその研究にも取り組んでいる。

 実は、ここにいたるまで、ちょっとした寄り道もしており、それが宇宙機での観測にまつわる特有の難しさを象徴しているようで、最後にお話しいただこう。

「LUNAR-A」実験のイメージ。「ペネトレーター」を月面に突き刺して観測する計画だった。(C)宇宙航空研究開発機構(JAXA)(画像クリックで拡大)

「LUNAR-Aってご存じですか」と岡田さんは問うた。

「ペネトレーターですね」とぼくは答えた。

 LUNAR-Aは、とても斬新な探査計画で、ペネトレーターと呼ばれる槍状の観測機器を、月の周回軌道上からいくつも落とし、月面に突き刺して観測するというものだった。SF的で、印象に残っていた。

「実は、私が最初に関わった宇宙探査の計画なんです。月の内部の構造を調べるために、地球と同じように地震計を使いましょうと。月に地震があること自体は、アポロの宇宙飛行士が置いてきた地震計で分かっていましたので。ただ、1カ所じゃ駄目で、複数箇所置かないといけない。着陸機だと1カ所にしかいけないので、1回の打ち上げでやろうとしたら、軌道上から地震計を搭載したペネトレーターをあちこちに撃つ手法がベストだということで、始まったんです」

(写真クリックで拡大)

本誌2013年7月号でも太陽系にまつわる特集「太陽系 激動の過去」と「探査車が見た火星」を掲載しています。Webでの紹介記事は、「太陽系 激動の過去」はこちら。「探査車が見た火星」はこちら。ぜひあわせてご覧ください。

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