中国産を国産と偽装するだけではない。ヨーロッパウナギの輸入からシラスウナギの流通まで、ウナギ取引には不透明な部分が多すぎる。これらを解消し、厳正に管理していかなければ、ウナギが食べられなくなる日は間もなくやってくる。(編集部)

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 ウナギの資源管理を困難にしている理由の一つは、シラスウナギや成魚、加工品などの取引の過程が極めて不透明で、密漁、密輸、密売、産地偽装などが跡を絶たないことである。

横行する密猟と不正規の流通

押収された密輸品のシラスウナギ、2007年(提供:第11管区海上保安本部)

 後で紹介するように宮崎県は全国でも珍しい「うなぎ稚魚の取り扱いに関する条例」を1995年に制定し、シラスウナギ漁の管理に取り組んでいるのだが、条例制定の理由の一つが、価格の高騰を理由に県内でシラスウナギの密漁や不正規の流通が横行したことだった。これには暴力団なども関与し、当時、県内で採捕されるシラスウナギの70%が密漁だった上、許可を受けて漁獲されたシラスウナギの3分の2が不正規ルートに流れていた。適正なルートによるシラスウナギの流通量は全体のわずか10%だったという。

 同県内のシラスウナギ漁は条例制定によって適正化が進んだが、このような条例のない地域では、相変わらず不正規のシラスウナギの流通が続いているといわれている。たった1匹のシラスウナギが500円で売れるのだから、きちんとした規制を導入しない限り、密漁や密売が横行するのは目に見えている。

 国際的な取引も極めて不透明だ。その一例が、国際自然保護連合(IUCN)によって「近い将来に絶滅の恐れが極めて高い種」に指定され、ワシントン条約の規制対象となったヨーロッパウナギの取引だ。ヨーロッパウナギは同条約の附属書IIの対象種なので、輸出国の許可証があれば、輸出は可能である。ただ、欧州連合(EU)は、2009年の規制開始とともに域内からの輸出を禁止する措置を取っているので、原則として国際市場にはヨーロッパウナギは出回らないことになっている。現在、流通しているのは条約の規制やEUの規制が始まる前に漁獲され、売買の契約などが成立していたという、例外的なものにとどまるはずだ。

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