第5回 ウナギ取引は不透明 規制強化が不可欠に

 日本全国で漁獲されるシラスウナギを対象にこのような仕組みを導入すれば、シラスウナギの取引はかなり透明なものとなるはずだ。水産庁が国内のシラスウナギの漁獲量を正確に把握することさえできないという今のお粗末な現状から脱却し、採捕量や自然界に残す量をコントロールすることが可能になるだろう。

 ニホンウナギは恐らく、この秋にはIUCNのレッドリストに掲載され「国際的な絶滅危惧種」とされるであろう。それを機に、ヨーロッパウナギとともにワシントン条約の附属書IIの対象種とし、国際的な取引を管理し、密輸を監視する態勢を整えることも必要だろう。それに対応した貿易統計の改善も重要になるし、何よりも水際での摘発を強化することが欠かせない。

 だが、ここまで資源レベルが悪化した以上、これだけではウナギの復活は望めないと言える。

 現在、業界の自主的な取り組みや愛知、宮崎、鹿児島の3県での規制のみに任されている産卵に降る親ウナギ(下りウナギ)の漁業規制を全国レベルで行うことも資源復活のためには重要だ。実態がほとんど分かっていない「遊漁」による下りウナギの漁獲を含めて、違反者には罰則を科すくらいの強力な漁業規制が必要であろう。

 そして、再三指摘したように、ウナギ資源の保護と持続可能な利用の実現のために何より必要なのは、薄利多売のウナギビジネスからの脱却と、「安いウナギをお手軽に食べたい」という消費者の意識を改革し、ウナギの大量消費と乱食に歯止めをかけることである。

「日本人が世界のウナギを食い尽くす」

 インドネシアやフィリピン、マダガスカルなど未利用の海外のウナギ資源を利用することの問題点は既に第3回で指摘したが、関連業界は外来ウナギの導入に熱心で、メディアでも「ウナギ食の救世主」などとこれを持ち上げる論調が目立つ。だが、生態系や在来のウナギへの悪影響を別にしても、これらの資源に依存することは、今、求められているウナギビジネスの転換と消費者の意識改革を遅らせるという害はあっても、一利もない。

出荷を待つ養殖ウナギ、宮崎市で2012年(著者提供)