だから、分かっていたものの、やはり本当にいないとなると、なんだかぽっかりと心に穴が開いたように寂しくて胸が苦しくなった。

「寒さが厳しいのに、デッド・フィッシュ・レイクの森に戻っていってしまったんだね……」

 弱々しい体で森で生きることを決めたオリバー爺さんは、どこか死を覚悟していた。

 私は、そのことを思い出すと、しばらくカウチに体を沈めたまま、言葉も出なくなった。

 するとトーニャが、疲れた体を起こして私に言った。

「実はね……、オリバーは森にいないわ……」
「え?」
「サンフランシスコで暮らすことになったの」
「えええ?」

 私は驚いた。あんなに森に暮らすことにこだわっていたオリバー爺さんが、50数年もの森の暮らしや、自分で建てたキャビンを捨てて、観光客で賑わうミーハーなサンフランシスコで暮らすことを決めただなんて。

 新たな展開の意外な真実に、私はある意味混乱していた。

「な、なにがオリバー爺さんにあったの???」
 私は、カウチから体を起こして前のめりになってトーニャに尋ねた。

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