ドッグヤードの犬たちにも餌を与え、それから橇に積んだ荷物をロッジの中に入れると、トーニャも私も、カウチに腰を下ろして、ほっと息をついた。

 ロッジには、もはや一時帰国をする前のような笑い声が絶えない賑やかさはなく、静まりかえっていた。

 聞こえてくるのは、熱風の上昇による振動で鳴る、薪ストーブの煙突のシャラシャラという音だけ。

 短い日も暮れて、外は真っ暗になり、ぼんやりと裸電球が灯り、より寂しさを感じた。

 トビエスとセビーナも、私がいなくなった2週間後に自分の国ドイツに帰っていき、スティーブも彼女と一緒に、ミンチュミナ湖岸の両親の家で暮らしている。

「トーニャ……、オリバー爺さんは、どうしてる?」

 私は、まだあのベニヤ小屋にオリバー爺さんがいることを少し期待しながら尋ねた。

 でもトーニャは、「オリバーは、もうここにはいないよ」と呟く。

「うん……」と、私は頷いた。

 オリバー爺さんは、私に言っていたのだった。

「お前さんが戻ってくる頃には、ワシはここにはおらんよ」と。

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