第3回 再エネ4割超で多元化に成功するスペインに学べ

エネルギー多元化が何よりも重要

 ひるがえって日本の状況を見てみよう。果たして日本はエネルギー多元化を実現できる体制にあるだろうか。

 まず、ご存知のとおり日本は発送電一体型の電力10社により10地域に分割されている。そして、1.6%という再エネの低い普及率からわかるように再エネの普及やエネルギー多元化よりも原子力を中心とした大規模集中型の発電に適した体制と言えるだろう。

 さらに、電力の足りない地域に余剰電力を供給する電力融通のシステムも十分整っておらず、東西にいたっては周波数が50Hzと60Hzに分かれてしまっているという有様だ。

 スペインと比較するととてもではないが多様なエネルギーをコントロールできるとは言えない。日本がエネルギー多元化を目指すためにはやはり既存の体制を改革する必要がある。

 こうした状況の中、再エネの弱点に対処しつつ電力の安定供給を確保する仕組みを作ることを目的の1つとした、「電気事業法の一部を改正する法律案」が本年4月に閣議決定されている。本法案については、まだ具体策など内容が十分ではないとの見方もあるが、施行されれば現在の電力制度ができて以来、約60年ぶりの抜本的な改革となるものだ。

 しかし、ご存知のように本法案は6月の通常国会において首相への問責決議により廃案となった。

 日本のエネルギー政策の再構築は待ったなしの状況だ。

 これ以上の遅れを生じさせないためにも、多様なエネルギーの導入を促し、その選択の幅を広げたエネルギーの多元化を実現する環境を逸早く構築することが、エネルギー政策の再構築においてなによりも重要だ。

つづく

平沼光(ひらぬま ひかる)

1966年、東京都生まれ。東京財団研究員・政策プロデューサー。1990年、明治大学経営学部卒業後、日産自動車株式会社を経て、2000年、東京財団に入団。政策研究部で外交・安全保障、資源エネルギー分野のプロジェクトを担当。内閣府 日本学術会議 東日本大震災復興支援委員会 エネルギー供給問題検討分科会の委員も務める。JOGMEC(独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構)の地球深部探査船「ちきゅう」による世界初のメタンハイドレート海洋産出試験に際し、Webナショジオでは「世界初の快挙なるか! メタンハイドレート海洋産出試験」を連載。『日本は世界1位の金属資源大国』 (講談社+α新書)『日本は世界一の環境エネルギー大国』(講談社+α新書)『原発とレアアース』(共著、日本経済新聞出版社)などの著書がある。