File6 海の無人探査ロボット開発者 石橋正二郎

第3回 エンジニアは被告席に座らなければならない

 技術開発には、研究者側の要求に応じて進めるというアプローチもあるが「特に探査機開発は、サイエンスの要求だけに引っ張られるとうまく進まないと思います」という。
 この言葉には、実現性と相反する研究者の高すぎる理想に応えようと意識しすぎると、いつまでたっても形にならないという事態に陥りかねないという意味も含まれている。

「世の中のエンジニアは、みんな同じことをしていると思います。片手では理想を高く掲げ、その理想に挑み続ける。でも、もう片方の手ではどこに現実とのボーダーを引くかを探っているんです」

うらしまは2005年に連続航走の世界記録をうちたてた。(提供:石橋正二郎)(写真クリックで拡大)

青木の系譜

 ゆめいるか、じんべい、そしておとひめは、それぞれ、ピンク、朱色、珊瑚色にペイントされている。
 この海の探査3兄弟の親とも言うべきAUV「うらしま」の色使いを踏襲している。特に、じんべいの色はそっくりだ。

「うらしまは、青木さんがつくられたものなんです。私は、青木の系譜。それを示すためにも、この色を受け継ぐと決めました」

 そう言ってちょっと照れくさくなったのか、石橋さんはこう付け加えた。

「まあ、海にも映えますしね」

おわり



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この記事は日経ビジネスオンラインとの共同企画です。
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片瀬京子(かたせ きょうこ)

1972年生まれ。東京都出身。98年に大学院を修了後、出版社に入社。雑誌編集部に勤務の後、09年よりフリー。共著書に『誰もやめない会社』(日経BP社)『ラジオ福島の300日』(毎日新聞社)など。