第4回 イトカワにはなぜクレーターがほぼないのか

「例えば、砂場に石をパーンと当てればクレーターはすぐできますよね。でも、固い岩が寄せ集まったようなものなら、きれいなクレーターにならないで、ブロックが崩れるがごとく崩れちゃったのかもしれません。ひとつひとつの構成粒子が大きすぎて、きれいなクレーターにならない、と」

 実はこれは「はやぶさ」の観測ではっきりわかってきていることの1つだ。X線分光計ではなく、主に可視光の映像やイトカワ近傍での重力を解析した成果。自分の観測機器によるものではないが、地形に惹かれる岡田さんの面目躍如で、実にいきいきと語ってくださった。

 イトカワは「ラブルパイル」、つまりガレキの寄せ集めのようなものなのだという。

「──全体の稜線を見ると丸いんです。丸いというのは、小さいものがゆるく寄せ集まっているということ。イトカワの全体のスケールが約500メートルですから、それに対して十分小さいという意味です。大きいものは10メートルスケール、小さいものはやっぱりミリメートルスケールまであると思うんですけど、そういったものがゆるーく寄せ集まっているというような状態が1つ考えられると」

「──太陽系の中で惑星が成長していくときに、チリが寄せ集まって大きくなっていくとして、小さいものならふわっとくっつけたかもしれない。でも、ある程度大きくなった後にぶつかると、普通に考えるとバラバラになるかもしれませんよね。では、実際どうだったのかというのは難しい問題です。その1つの解がこのイトカワという小惑星であるわけです」

 ここにX線分光計での観測結果を重ね合わせると、さらに詳しいことが分かってくる。