第18回 チャオプラヤー川

 船旅の楽しさは、大きな客船に乗って何泊も過ごすだけではありません。フェリーや水上バス、渡し舟といった水上における“庶民の足”もまた、魅力的な船旅の1つと言えるでしょう。世界各地ではこうした「生活航路の小旅行」で、人びとの様子や生活文化をじかに垣間見ることができます。今回はそんな生活航路の1つ、バンコクを流れるチャオプラヤー川で乗船してみましょう。

チャオプラヤー川では、川岸に大きくそびえるワットアルンの仏塔を見ることができる。
写真:菅原千代志(写真クリックで拡大)

 チャオプラヤー川は、バンコクを南北に流れる大きな河川で、水上バスの交通が盛んな所です。この川で水上バスを広く運行するのが、「チャオプラヤーエクスプレス」。水上バスで地元の人に溶け込みながら、ワットアルンや王宮といった名所を巡る船旅が楽しめます。

 このエクスプレスはチャオプラヤー川の両岸各所を結んでいますが、観光客が最も利用するのが、北側の船乗り場「ターチャーン」から南の「オリエンテン」の区間です。この間は、数百メートルおきに船乗り場が続き、全ての船乗り場に止まる各停や利用客の多い場所のみの急行、さらに長い区間を飛ばす特急など、多彩な船が運航されています。

 たとえば、「オリエンテン」という船乗り場から乗船して、水辺に暮らす家々などを見ながら「ターティアン」に移動。そこで渡し船に乗り換えて、ワットアルンを見学しましょう。ワットアルンは、タイでもっとも有名な寺院の1つで、日本では三島由紀夫の長編小説「暁の寺」の名で知られています。陶器で飾られた高さ75メートルの仏塔はバンコクを代表する風景になっています。

 チャオプラヤー川の水上バスは観光客の利用も多いのですが、乗客の大半は地元の人々です。下校時間に重なれば、船内は学生であふれ、袈裟を身に着けた僧侶も、ごく当たり前のように乗り込んできます。様々なものが雑多に交じり合うバンコクの縮図のような船は、人々を見ているだけでも興味は尽きない面白さがあります。

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