「金曜日に行われる集団礼拝には400人くらい集まります。ラマダンの時も多いですね。ラマダンはイスラム暦9月のことで、イスラム教徒はラマダンになると日の出から日没まで断食をします。そして日没が過ぎると、食べ物の恩恵に感謝しながら、みんなで食卓を囲むんです。今年のラマダンは7月9日から8月7日頃。東京ジャーミイでは毎年、日没後の食事を無料で提供しています」

 そのためにトルコ本国からシェフを呼ぶのだという。断食明けの料理は決まっていないようだが、食のありがたみを知るトルコ人のソウルフードってなんだろう。ヌルラフさんに尋ねると力強い口調でこう返ってきた。

 「ケバブです」

 おお、ケバブってトルコ料理屋の店先でくるくる回っている肉のかたまりのことだよな。トルコ料理のイメージそのものではないか。でもあれは何の肉だろう。かたまりはどうやって作るんだろう……。浮かんだ疑問を口にすると、「それならば食べに行きましょう」と渋谷にあるトルコ料理レストラン「アンカラ」に向かった。

 「ケバブとは焼いた肉料理の総称で、実は種類がいろいろあるんです。よく店先で見かける大きな肉はドネル・ケバブ。ドネルとは『回す』という意味で、文字通り肉を回しながら焼いています。金属の串に肉を刺して焼いたものは、『串』をシシということからシシ・ケバブ。調理法によって違う料理になるんですよ」

ほどよく焼けたドネル・ケバブをナイフでそぎ落とすアンカラのオーナーシェフのエロールさん。この大きさで約6kg、50人分だという

この連載の前回の
記事を見る

この連載の次の
記事を見る