世界三大料理にフランス、中国と並んでなぜトルコが挙げられるのか、疑問に思ったことはないだろうか。一説では、いずれも広大な領土を支配していた帝国や王朝の料理が発展したという歴史的背景が理由だと言われるが、ほかの2つに比べるとトルコはどうも印象が薄い。

 そこで今回は、トルコのソウルフードを探しながらその食文化に迫ってみようと、東京渋谷区にある代々木上原駅に降り立った。トルコは人口の99%以上がイスラム教徒。この街には日本有数の大きさを誇るトルコのモスク(イスラム教の礼拝堂)・東京ジャーミイがあると聞いたからだ。

 マンションやビルの中からスッと伸びる白い尖塔と、美しい弧を描くドーム。伝統的なオスマントルコ様式のモスクが放つ存在感に、思わず感嘆の声をあげてしまう。ここが東京であることも忘れてしばし見惚れていると、東京ジャーミイのイマーム(指導者)、ヌルラフ・アヤズさんが迎えてくれた。

 「この地にモスクが建ったのは1938年。ロシア革命によって弾圧を受けたカザン(現在のロシア連邦・タタールスタン共和国の首都)のトルコ系民族が、日本に亡命したのがきっかけです。日本政府から許可を得て35年に学校を設立し、その隣にモスクを建てました」

 現在の建物は2000年に建て替えられたものだが、75年も前からこの地で歴史を重ねてきたとは驚きだ。いまでは在日トルコ人に限らず、関東に住むパキスタンやバングラデシュなどのイスラム教徒が祈りを捧げにくるという。

東京ジャーミイ2階の礼拝堂入り口。立て替えの際はトルコから呼んだ職人が外壁や内部の装飾を手がけた
礼拝堂の中はステンドグラスやタイルなど華麗な装飾が施されている。イスラム教徒でなくても見学が可能だ

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