まさかジム・ブランデンバーグの口から、日本語のあいさつが発せられようとは、想像だにしていませんでした。

 ジムなりの機転と優しさだったのでしょう。

 が、ぼくはといえば、緊張のあまり、それに日本語で返してみせる余裕なんかとてもありません。

 ただ、差し出された手をおそるおそる握り、会う前からなんども頭の中で反復しておいた英語で、間違えないように自己紹介をするのが精一杯でした。

「お会いできてうれしいです。ヒデヒロ・オオタケと言います。日本から来ました。お時間をとっていただき、ありがとうございます……」

 そんな、ぎこちないあいさつにも、ジムは律儀に自己紹介を返してくれました。

黄色いスイレンの咲く湖で、アカエリカイツブリが卵を温めていた。 (写真クリックで拡大)

「ジム・ブランデンバーグです。わたしも会えて嬉しいですよ」

 しかも、さらに続けて、「遠いところからよく来たね。日本は大好きな国で、良い思い出もたくさんあるんだ」と、嬉しそうに語ってくれました。

 穏やかな声と柔和な笑顔、そして、大きな青い瞳が印象的でした。

 決して人を威圧するようなところのない、物腰のやわらかな印象に、ぼくはほっとしました。

 ジムは握っていた手を離すと、「どうぞ」というように、建物のなかへと迎え入れてくれました。

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