第2回 宇宙と「地形」への興味から「はやぶさ」の研究へ

「特にググッと来たのは地形なんです。私は変わっているといいますか、地形などを見て感動するタイプなんです。これは地球でもそうでして、旅行でも火山とか山の稜線とかを見るのが好きですね。そういうわけで、外惑星よりも、内惑星のほうが好きなんですよ。当時の世間の雰囲気としては、地球と似ているはずの火星や金星に、期待された生命はいなかったと意気消沈しているふうだったと思うのですが、私はそう感じなくてですね、むしろ面白い、と」

 ここで念のために確認。外惑星、内惑星という区分は、わりとよく使われていて、一般社会では、地球とさらに内側の金星、水星を内惑星としていることが多いようだ。ところが、現代の惑星科学では、この区分にはあまり意味がなく、むしろ、小惑星帯よりも内側の岩石惑星がある領域を内惑星(つまり、火星・地球・金星・水星)、その外側のガス惑星の領域を外惑星(木星、土星、天王星、海王星)とする場合が多いという。

 さて、1976年、地球に似た岩石惑星である火星に着陸したバイキング1号、2号は、生命の兆候を見つけられなかった。金星は金星で、非常に高温でとうてい地球のような生命は存在し得ないと分かった。ぼくもかなりがっかりした気がする。その後、パイオニア、ボイジャーといった、外惑星に向かう探査機が「外へ外へ」と視野を広げていく時代に、岡田さんはあくまで、きちんと「地形」のある内側の惑星に関心があると自覚したというのだから、かなり根源的な興味なのだろう。

 テレビ番組の「コスモス」の放映時点で、岡田さんは小学6年生。さらに中学時代に、日本の啓蒙的科学雑誌のさきがけ『ニュートン』が創刊されたことも大きい。

「初代の編集者は日本の惑星科学の草分け、竹内均先生(当時・東京大学名誉教授)で、2代目が弟子の水谷仁先生(宇宙航空研究機構名誉教授)。私の指導教官です。もう1人、竹内研究室の出身者で松井孝典先生(東京大学名誉教授)なども、よく『ニュートン』に書かれていました。特に松井先生は、NHKの『地球大紀行』というテレビ番組で、地球の初期の進化過程を、詳しくわかりやすく説明してくれていましたね。それがちょうど大学に入ったぐらいですかね」

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