第2回 宇宙と「地形」への興味から「はやぶさ」の研究へ

 岡田さんは観測機器を開発して「はやぶさ」に搭載し、7年にわたるミッションの間、観測のみならず探査機自体の運用を担当し続けた経験を持つ。1プロジェクトのサイクルが長い宇宙機による科学探査をきちんと「1周」体験した中では、最若手の1人だ。ぼく個人としては(ほぼ)同世代の宇宙探査の証人として、興味津々でもある。

 1968生まれの岡田さんは、物心ついた時には人類が月に到達していた最初の世代だ。アポロ計画は1973年に終わったから、少年期にリアルタイムで意識したのは無人の宇宙機による惑星探査だそうだ。

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「カール・セーガンというアメリカの有名な惑星科学者が出演した『コスモス』というテレビ番組をよく覚えています。パイオニア10号、11号が飛んで、木星などを初めて近くで撮った写真とかが紹介されて。あと60年代から70年代にかけて、アメリカの探査機が火星、金星、水星に行っているわけです。内惑星系プラス木星、土星ぐらいですね。それまでに分かっていた知見を彼が非常にわかりやすく説明してくれたんです。日本の図鑑だと古い情報しかなかったのに、写真も非常に鮮明で衝撃的でした」

 テレビ番組「コスモス」は、日本では1980年に放映されている。世界中に番組販売され、書籍版も国際的ベストセラーになったので、同時代に生き、宇宙探査に興味がある人なら、住んでいた国を問わず、かなりの割合で話題が通じる。岡田さんのように、適した年代に出会っていれば、これをきっかけに宇宙に目が行った、という人も多いだろう。

 この時点で、岡田さんはすでにある指向性を持っていたそうだ。 

本誌2013年7月号でも太陽系にまつわる特集「太陽系 激動の過去」と「探査車が見た火星」を掲載しています。Webでの紹介記事は「太陽系 激動の過去」はこちら。「探査車が見た火星」はこちら。ぜひあわせてご覧ください。