File6 海の無人探査ロボット開発者 石橋正二郎

第1回  海を駆け巡る3機の「アトム」

JAMSTECは2012年、操作しなくても自分で勝手に動いてくれる“自律型”の無人探査機を3機、同時開発した。いわば海の調査ロボットだ。目的は資源探査と科学調査。いよいよ実用フェーズに突入するのを機に、クールな外見に熱い魂をもつ開発者、石橋正二郎さんに話を聞きました。(写真=田中良知)


海の探査3兄弟。「おとひめ(上)」「じんべい(右)」「ゆめいるか(左奥)」(写真クリックで拡大)

 おおお!

 思わず声を上げる取材陣。

 「AUV整備場」と表札が出ている建物の扉を開けると、そこに“海の探査3兄弟”、つまり深海探査機の「ゆめいるか」「じんべい」、そして「おとひめ」がいた。

 高い位置にある窓から注ぐ夕方の光に照らされて、3兄弟は誇らしげ。どれもサンダーバードに出てきそうで、ここは海に関する研究所ではなく、映画の撮影現場のようだ。

 最も大きいのが、ゆめいるか。次がじんべい。そしておとひめだ。

 どれも、前々回ご紹介した「しんかい6500」に比べると小振り。
 それもそのはず、この3兄弟は人を乗せないのだ。つまり、無人で海の中を動き回る。

「AUVといいます。Autonomous Underwater Vehicleの略で、海中で活動する自律型の無人探査機です」

 3兄弟をほぼ同時期にここまで育て上げた、JAMSTEC海洋工学センターの石橋正二郎さんが説明してくれる。いかにも真面目で繊細な感じの、爽やかな男性だ。

3兄弟の開発者、石橋正二郎さん。(写真クリックで拡大)