第3回 美食の国の母なる味

 1960年代頃から日本に浸透し始めたフランス料理は、度重なるワインブームとも相まって人気となり、いまや多くのレストランが点在している。そこに一貫しているのは「洗練されていて、盛りつけも上品で美しい料理」というイメージだ。しかし、テリーヌ・ド・カンパーニュには、“田舎”という言葉が意味する通り、そのイメージを覆す身近さがある。イルベイさんは言う。

 「家庭料理や郷土料理はお皿にドンと盛って食べます。日本にはそうしたボリュームのある料理を出すフレンチレストランが少ない。そのためか、郷土の味を食べさせたいというお母さんたちが子どもを連れてお店にきたりもするんですよ」 

 テラスに目をやると、マダムたちが食後の談笑を続けていた。そのリラックスした表情を見て、この街にはフランスの味と文化がしっかりと根付いていることを感じた。

アンスティチュ・フランセ東京 ラ・ブラスリーの入り口。オランド仏大統領が来日した際には、大統領夫人がお昼の食事会を開いたという本国でも信頼されている店だ

アンスティチュ・フランセ東京 ラ・ブラスリー
東京都新宿区市谷船河原町15
電話:03-5206-2741
ホームページ:http://www.institutfrancais.jp/tokyo/services/brasserie/

中川明紀(なかがわ あき)

講談社で書籍、隔月誌、週刊誌の編集に携わったのち、2013年よりライターとして活動をスタート。何事も経験がモットーで暇さえあれば国内外を歩いて回る。思い出の味はスリランカで現地の友人と出かけたピクニックのお弁当とおばあちゃんのお雑煮