トーニャは、大きな瞳を輝かせていた。

 そう言って彼女は、私の荷物を抱えると、また雪の中を雪まみれになりながら歩いていく。

「え? その道を行くの?」と思いながらも、雪まみれになりながらトーニャの後をついていくと、坂を上った辺りで、犬たちの大歓迎を受けた。

 どの犬たちも、私に飛び掛ってくる。「はいはい。よしよし」と頭を撫でてやり、一旦落ち着かせると、トーニャが私に言った。

「あなたの橇と、あなたのチームドッグ(犬たち)を紹介するわね」

「え?」

 私は、目を見開いて、聞き返した。私はてっきり、トーニャが操る橇に、荷物と一緒に乗ってロッジに帰るのだと思っていたのだ。

 だって、まだ犬橇の乗り方も教わっていないのだから。

 そんな私に、トーニャは大きな口で、ガハハと笑って言った。

「何言ってるの? あなたは、マッシャーになりに来たのでしょう? だから、すでに観光客ではないわ」

 まあ、確かに……。

 そして彼女は、橇に装着されているバッグの中から大量の冬用の衣服を取り出して、「さあ、着て!」と言う。

 それは、倉庫に山積みになっていた冬用衣服を、そっくりそのままがばっと抱えて持ってきたような、女性物も男性物も、新しく鮮やかな色ものも、穴の開いたボロ着も、すべてごっちゃ混ぜの、ばらばらのものだった。

 私はその大量の衣服の中から、比較的お洒落で新しく、もちろん女性用のものを選ぼうとした。

 するとそれを見たトーニャが言った。

「なに選んでるの? それ、全部着るのよ」

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