第46話 またもどすこい! 戻ってきたミンチュミナ

「え、全部?」私は、再び目を見開いて、トーニャの顔を見た。

「そうよ、全部よ。すでにあなたに合うサイズを選んで持ってきたのよ」

 私は、驚きながらも、これは困ったと思った。

 これを全部着るなんて、どう考えたって無理である。全部を着たら、相撲取りの着ぐるみ状態だ……。

 実は前回、小型機に預ける荷物の重量オーバーを避けるために、着替えの服は重ね着をして、重たい本はポケットに突っ込んで、着膨れ状態で飛行機に乗ってきた。

 今回もまた、荷物の重量オーバー分の課金を避けるために、着られるものは全て着込んでいるのである。

 それなのに、さらにトーニャの持ってきた服を着ることになる。

 私は、トーニャの顔を窺うように言った。

「着なきゃダメなの?」

 すると、トーニャは、「無論当然」という顔をした。

 ならば、着るしかない……。ということで私は、彼女に従って、ズボンの上にまたズボンを履き、さらにカッパズボンを履いて、ジャケットの上にまたジャケットを着込んで、更にその上から巨体サイズのアノラックを着た。

「どすこい!」これでどうだ?

 私はもはや、マッシャーというよりも、まんまるの、だるま……である。

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つづく

廣川まさき

廣川まさき(ひろかわ まさき)

ノンフィクションライター。1972年富山県生まれ。岐阜女子大学卒。2003年、アラスカ・ユーコン川約1500キロを単独カヌーで下り、その旅を記録した著書『ウーマンアローン』で2004年第2回開高健ノンフィクション賞を受賞。近著は『私の名はナルヴァルック』(集英社)。Webナショジオでのこれまでの連載は「今日も牧場にすったもんだの風が吹く」公式サイトhttp://web.hirokawamasaki.com/