結局、ジムの家を見つけることは出来ず、アスファルトの上を歩くのにも疲れて、暗い気持ちでロッジに帰ってきました。

 テントに戻り、とりあえず、気分だけでも一新しようと、着替えを持ってシャワーに向かいました。

 イリーのモーテルで最後に浴びてから、じつに9日ぶりの温かいシャワー。

 目をつむって、何も考えずにお湯に打たれていると、なんともいえない気持ちよさでした。

 服も替えてさっぱりしたところで、こうなったら、トムに相談してみようと、メインロッジに向かいました。

針葉樹の森の上に、嵐が近づいてくる。怪しい雲が空一面を覆いつくすと、まもなく、雨粒が落ちてくる。(写真クリックで拡大)

 グレッグ、スティーブ、リー、カヌーイストの4人組……思い返せば、これまでにも、いろんな人がぼくを助けてくれました。

 最初から当てにすることはできませんが、自分でトライしてもダメだったら、最後に頼むべきは、やはり人しかありません。

 メインロッジに入ると、夕食を食べる人々でにぎわっていました。

 カウンターの奥は広い部屋になっていて、壁は丸太で組まれ、木製のテーブルが並ぶ、ログ・キャビン風のレストランになっていたのです。

 ぼくはテーブルには向かわず、受付でトムを呼んで、事情を説明しました。

「あの……、ジム・ブランデンバーグという写真家をご存知ですか? この近くにすんでいると思うのですが」

 するとトムは、怪訝そうな顔で答えました。

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