結局、ジムの家を見つけることは出来ず、アスファルトの上を歩くのにも疲れて、暗い気持ちでロッジに帰ってきました。
テントに戻り、とりあえず、気分だけでも一新しようと、着替えを持ってシャワーに向かいました。
イリーのモーテルで最後に浴びてから、じつに9日ぶりの温かいシャワー。
目をつむって、何も考えずにお湯に打たれていると、なんともいえない気持ちよさでした。
服も替えてさっぱりしたところで、こうなったら、トムに相談してみようと、メインロッジに向かいました。
グレッグ、スティーブ、リー、カヌーイストの4人組……思い返せば、これまでにも、いろんな人がぼくを助けてくれました。
最初から当てにすることはできませんが、自分でトライしてもダメだったら、最後に頼むべきは、やはり人しかありません。
メインロッジに入ると、夕食を食べる人々でにぎわっていました。
カウンターの奥は広い部屋になっていて、壁は丸太で組まれ、木製のテーブルが並ぶ、ログ・キャビン風のレストランになっていたのです。
ぼくはテーブルには向かわず、受付でトムを呼んで、事情を説明しました。
「あの……、ジム・ブランデンバーグという写真家をご存知ですか? この近くにすんでいると思うのですが」
するとトムは、怪訝そうな顔で答えました。