第14回 小笠原諸島

 船でしか訪れることのできない奥地の旅、「秘境クルーズ」は船旅ならではです。「秘境」とは本来、外部の人がほぼ足を踏み入れたことがなく、一般によく知られていない地域のことを言いますが、旅の用語ではめったに行けない奥地のことを表現することが多いようです。船旅のメリットは、水域さえあれば、陸路で訪れることのできない奥地にまで行ける点です。今回はそんな船旅の1つとして、日本の小笠原諸島を紹介しましょう。

小笠原の玄関口、父島の二見港がある入り江を遠方から望んだ風景。
写真:丹治たく(写真クリックで拡大)

 小笠原諸島は、東京の南方およそ1000キロの太平洋上に浮かぶ隔絶された孤島です。飛行場はありません。まさに“船のみで行ける旅先”です。唯一のアクセス手段となる定期船の「おがさわら丸」は東京の竹芝客船ターミナルから出航しており、宿泊設備を備えています。

 船は朝10時に出発し、25時間30分をかけて、小笠原諸島の玄関口である父島の二見港に到着します。二見港には翌日の11時30分に入港しますが、その3時間ほど前の朝から、デッキで船の進む先を眺めるといいでしょう。大海原の先にうっすらと島影が浮かぶ景色は、深いマリンブルーに囲まれた「絶海の孤島」「東洋のガラパゴス」と称される所以です。

 小笠原諸島は、温暖多湿な海洋性気候に属しています。島では、自然に触れる楽しさが満載です。固有種の説明を聞きながら、貴重な生態系が残る山や森を歩くガイドツアーに参加するといいでしょう。冬季には、ザトウクジラを見るツアーも数多く実施されています。父島の「小笠原海洋センター」ではウミガメが飼育されていて、間近に見学することができます。なお、母島には、二見港から「ははじま丸」に乗って、約2時間で到着します。

 世界遺産に登録されて以降、小笠原諸島は人気が出ている旅行地。それだけに、定期船の「おがさわら丸」は早々に定員に達することがありますので、早めの予約を心がけたいものです。定期船に加えて、日本の客船が夏季を中心に不定期のクルーズを実施することがありますので、船会社の情報に目を配るといいでしょう。

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